ISO37002を活用した ”内部通報マネジメントシステム評価・点検ツール” の提供開始予定について

《 改正公益通報者保護法 および コーポレートガバナンス・コード にも対応 》

▶ 当研究所(日本コンプライアンス&ガバナンス研究所〔JACGI〕(代表:水尾順一※1))が監修を行った「ISO37002:2021 内部通報マネジメントシステム-指針 / Whistleblowing management systems – Guidelines(邦訳版)」(日本規格協会発行)を活用した、内部通報マネジメントシステムの整備・運用状況を事業者の皆様が評価・点検するためのツール「JACGI-内部通報マネジメントシステム・アセスメントシート(ISO37002+α評価・点検ツール)」〔仮称〕(監修:亀井将博※2、推薦:松本恒雄※3 および 田中宏司※4)の提供を、近日開始する予定です。

▶ このアセスメントシート用いて、貴組織の内部通報マネジメントシステムを適切に評価・点検をしていただくことにより、昨年7月に発行した国際規格ISO37002のみならず、本年6月に施行される改正公益通報者保護法第11条に基づく指針および昨年6月に改訂されたコーポレートガバナンス・コードが、内部通報マネジメントシステムに関し各事業者に求めている事項との関係についても、ワンストップで効率的に評価・点検することが可能となります。

▶ 近年、内部通報マネジメントシステムの重要性に対する社会経済における関心・認識の高まりを背景に、様々な関連法令等※5が適切な内部通報マネジメントシステムの構築を事業者に対し求めていますが※6、このアセスメントシートを活用することにより、国際的な通用性の高いISO37002、改正公益通報者保護法第11条に基づく指針およびコーポレートガバナンス・コードをも踏まえた対応を行っていることにつき合理的な根拠に基づく説明が可能となるため、ステークホルダーに対するアカウンタビリティの質および有効性の向上が期待できます。


(参考1)WCMS登録事業者の皆様へ: 本アセスメントシートには、「内部通報制度認証(自己適合宣言登録制度)」(WCMS)(※2022年2月より休止)の審査基準を、ISO37002(430項目の行為規範)とリンクさせたツールも実装されています。このため、特にWCMSの登録事業者および登録の準備をしていた事業者の皆様は、WCMSの申請書に記載した内容を活用することにより、効率的に内部通報マネジメントシステムの評価・点検を行うことが可能となっています。

(参考2)内部通報マネジメントシステム登録制度(仮称)の提供予定について: 本アセスメントシートを用いて内部通報マネジメントシステムを適切に評価・点検している事業者又は企業グループを、客観的な第三者が登録し証明する新たな制度の提供も別途予定しています。提供開始時期や手続等の詳細は、準備が整い次第、改めてお知らせします。


※1 水尾順一: 駿河台大学名誉教授・博士(経営学)。消費者庁「内部通報制度に関する認証制度検討会」座長、消費者庁「公益通報者保護制度の実効性の向上に関する検討会」委員等を歴任。

※2 亀井将博: デロイトトーマツグループ シニアマネジャー、経済産業省ISO/TC309国内委員会委員、ISO技術委員会309 ISO 37002開発ワーキンググループ(ISO/TC309 WG3)元日本代表、元内閣府消費者委員会公益通報者保護専門調査会委員。

※3 松本恒雄: 一橋大学名誉教授。内閣府消費者委員会委員長、ISO/SR国内委員会(ISO26000)委員長、国民生活センター理事長等を歴任。

※4 田中宏司: 東京交通短期大学名誉教授(元学長)。内閣府国民生活局「公益通報者保護法に関する民間事業者向けガイドライン研究会」委員長、内閣府国民生活局「民間企業における公益通報者保護制度その他法令遵守制度の整備推進に関する研究会」委員長、ISO/SR国内委員会(ISO26000)委員等を歴任。

※5 例えば、ISO37002(国際標準化機構)、改正公益通報者保護法(消費者庁)、コーポレートガバナンス・コード(金融庁・東証)のほか、投資家と企業の対話ガイドライン(金融庁)、コンプライアンス・リスク管理に関する検査・監督の考え方と進め方(金融庁)、景品表示法(事業者が講ずべき表示等の管理上の措置についての指針)(消費者庁)、企業行動憲章 実行の手引き(経団連)、私立大学ガバナンス・コード(私立大学連盟)などが適切な内部通報マネジメントシステムの構築を事業者に求めています。

※6 「「内部統制の最後の砦」とも云われる内部通報制度は、国内外におけるさまざまな環境の変化により、単にその整備・運用が求められる段階から、いよいよ、制度の質を各企業が客観的に証明できなければ大きなリスクとなる時代に突入したといえる。そのことに気が付いていない企業は、内部通報制度の質を「証明できる企業」の後塵を拝すことになるだけでなく、ステークホルダーや法執行当局に対する説明責任を果たすことができず、淘汰されていくおそれが高い。」という専門家の指摘があります。(出典:水尾順一「内部通報制度の将来展望~内部通報制度の質を証明できない企業は淘汰されていく時代の幕開け~」旬刊商事法務No.2223)